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東京地方裁判所 昭和32年(ヨ)4032号 決定 1958年5月22日

申請人 和田基男

申請人 夏目孝之

右両名代理人弁護士 植木敬夫

<外二名>

被申請人 池上通信機株式会社

右代表者 斎藤公正

右代理人弁護士 馬場東作

福井忠孝

主文

1、申請人和田基男が被申請人に対し雇用契約上の権利を有する地位を仮に定める。

2、申請人夏目孝之の本件申請を却下する。

3、申請費用は申請人夏目と被申請人との間に生じたものは同申請人の負担とし、その余を被申請人の負担とする。

理由

第一申請の趣旨

申請人等は「申請人等が被申請人の従業員たる地位を仮に定める」との仮処分命令を求めた。

第二当事者間争ない事実

一、被申請人(以下会社という。)は、通信用トランス、無線用測定器、放送音声装置、テレビ送像装置等の製作、販売を営業目的とする株式会社であり、申請人和田は昭和三一年一月一九日、申請人夏目は昭和二八年三月七日会社に期間の定めなく雇用され、申請人和田は製造部機器課に、同夏目は技術部第一設計課に勤務していたこと二、会社は昭和三二年五月二日申請人和田に対し予告手当を提供して解雇の意思表示をし、かつ、同日以降申請人夏目を従業員として取り扱わなくなつたこと

は当事者間争ない。

第三組合関係

疎明によれば

一、昭和三一年八月二五日会社従業員の一部は申請人和田を議長とする大会において労働組合を結成し、同日同申請人はその常任執行委員、渉外部長となり、申請人夏目は常任執行委員、文化厚生部長となつたこと

二、右組合は、昭和三二年一月五日頃全日本金属労働組合(以下、全金という。)に加盟し、その東京支部池上通信機分会(以下、組合という。)となつたこと

三、申請人和田は昭和三二年二月大田地区労働組合連合会の常任執行委員となり、次いで同年四月二七日の組合大会において書記長制が設けられた際書記長に選任され、申請人夏目も右大会において前同様の地位に再選されたこと

が認められる。

第四申請人和田の解雇について

一、組合の全金加入および申請人和田の組合活動等に対する会社側の認識

疎明によれば

1  昭和三一年一一月二六日組合は年末一時金の要求をし、その貫徹のため時限ストライキ等を行つたが、結局同年一二月五日妥結したこと

2  組合は前記のとおり昭和三二年一月五日頃全金に加盟したが、同年三月初旬会社管理部長平松敬三は、当時組合常任執行委員であつた岩崎留夫、同じく組合会計監査であつた西島研一に対し、同人等の職務記述書について質問した際組合活動をどう思うか、上部団体へ入つているがどう思うかなどと聞き、なお西島に対しては、中小企業の組合は強いて上部団体へ入る必要がないだろうから脱退するようにしてほしいと要望したこと

3  同年三月下旬右平松管理部長、金子労務課長は、当時組合執行委員長であつた鴨田米吉に対し同人の職務記述書について質問した際同人に対し(イ)組合は全金に加盟しているが、全金の指令どおりやつているのか、(ロ)誰が全金に加盟しようといいだしたのか、(ハ)申請人和田等は共産党に入党しているのではないかと質問したこと

4  同年三月二五日組合は一六〇〇円の賃金引上等の要求を提出したこと

5  同年四月六日会社社長は責任配置の地位にある従業員二十数名(内組合員七、八名)を集めて増資に関する話をしたが、その際「全金の指令と会社の指令とどちらを聞くのか。全金のいうことを聞く者は手を上げよ。」という趣旨の発言をしたこと

6  同年四月中旬頃平松管理部長等は、当時組合会計監査の地位にあつた西島研一に対し、「会社としては組合活動に一のレベルを設けている。そのレベル内で活動している内はよいが、もしそのレベルを超えて活動した場合は、その者に対して会社はある処置をとらざるを得ない。」との発言をしたこと

7  同年四月二五日組合執行部は前記4記載の組合要求について会社側の案である六五〇円賃金引上等の条件で妥結することとし、会社側は平松管理部長、佐野営業部長組合側は正副執行委員長において協定書草案を作成する段取りとなつたとき、会社副社長よりこれまでの団体交渉において問題とされなかつた確認書(「運命共同体である吾々の事業場内部の問題は吾々の手で解決する。第三者は誰もその結果につき責任を負つてくれない。」など労使双方が七項目にわたる会社、組合のあり方について確認をする文書)に組合が調印しなければ、前記協定も妥結しないとの申入があり、右委員長等は、右確認事項を受諾すべきかどうかを組合大会にはかつたところ、大会は組合活動を規制されるおそれがあるとして拒否したので、大会の翌日委員長より副社長にその旨報告したところ、副社長は、申請人和田、夏目などを中心とした人間があおつてこういう簡単なことにも調印させないようにしているのではないかといつたこと

8  同年四月二七日前記のとおり申請人和田が書記長に選任されたこと

9  同年四月三〇日会社から組合の職場委員であつた佐藤信之の父あてに呼出があり、父が翌五月一日金子労務課長と面談したところ、同課長から「上部団体のため今の組合活動は不健全なものになつている。」といわれ、更に同日佐藤本人が同課長にあつたところ同課長から「君は縁故で入社したのだから、紹介者のこともよく考え組合活動も自重して貰いたい。現在の組合は、二、三の者に動かされているが、そういう者の話にのらないように。今の組合は上部団体に加盟しているが脱退するようにしてほしい。現在会社は発展のため重役を入れ、幹部も充実し、新しい工場の土地も買つてある。こういう時に会社内部でごたごたするのもいやだから、この際二、三の者にやめて貰うかも知れない。」と話されたこと

10  同年四月三〇日会社から組合の常任執行委員中尾勇の母(長野県居住)に呼出があり、その母が翌五月一日三觜専務金子労務課長と面会したところ、両名から「組合は二、三人が引きずつてやつているから、そういう人達に引きずられないように本人に注意してほしい。またあまり過激な活動をすると会社をやめてもらうようになるかも知れないから十分注意してほしい。」と話されたこと

11  同年四月三〇日会社から瀬頭繁雄の兄に呼出があり、翌五月一日その兄が三觜専務と面談したところ同専務より「瀬頭は組合大会において会社に対し刺戟的な発言を比較的多くする。このような者は会社の健全な発展を阻害するものである。今後このような態度を改めるよう注意してほしい。本人に反省がない場合には会社をやめてもらうより仕方がない。」といわれたこと

12  同年五月一日会社から組合執行委員高橋一之の父親(長野県居住)に呼出があり、父が同月二日か三日頃三觜専務、金子労務課長と面談したところ「現在の組合内部は二、三の者によつて煽動されている。そういう中にまきこまれないように親からよく注意してほしい。最悪の場合には退職してもらうかも知れない。」と話されたこと

13  同年五月一日会社から組合員清田稔の父兄あてに呼出があり、清田本人が行つたところ、三觜専務から「君も若いのだし、将来のためを考えてあまり組合の過激な運動は避けた方がいいのではないか。」といわれたこと

14  同日会社から中原将之の父あてに呼出があり、同日父が会社にいつたが、その後右中原が父から「おまえは昨年末の闘争の時赤旗を振つていたらしいが、誰かに煽動されてやつているのではないか。あまり組合活動をやつていて首になると勤め口がなくなるからやらないでくれ。」といわれたこと

15  同年五月始め組合常任執行委員丸山隆平の兄(長野県居住)に呼出があり、兄が三觜専務と面談したところ、同専務から「本人は組合の役員をやつているが、昨年の年末にも又この春にも組合から要求が出ている。会社ものびるときだから、そういうことを強行すると外聞もあるから自重してやつてほしい。会社は新しい会社をつくることになつているから、会社の方針に従わないものはやめて貰うことがある。」と話されたこと

16  なお、日時は明確でないが、平松管理部長は鴨田執行委員長に対し二、三回にわたつて「全金は昔は非常に「荒つぽい」組合であつた。そういう過去をもつている上部団体とは手を切つた方がいいのではないか。」といつたこと

が認められ、右認定に反する疎明は採用しない。

以上の諸事実から見れば、会社は(イ)全金とは過激な組合活動をする組合と考え、組合が全金に参加したことを好ましく思わなかつたこと、(ロ)申請人和田を組合内における急進分子で会社の好ましく思わない組合活動の方向に組合員をひきずつていくものと考えたこと、(ハ)また同申請人の他の従業員に対する影響に対しては、これを受け易いと思われる者に牽制をする必要があると考えたと認めるのが相当である。

二、会社のいう申請人和田の解雇理由について

1  申請人和田が昭和三一年一〇月一二日より3C型コンソレツト二台の製作の仕事に従事し、四六日(一台平均二三日)を要したことが認められる。

この作業は、必要部品の入手状況、配線方式の変更の有無などの諸条件により作業日数が異つて来るため、当時果して幾日かかるのが相当であつたのか明白ではないが、まず一台二〇日間くらいでできる状況であつたと認められるので申請人和田の仕事はまず遅い方であつたと考えられる(なお、会社はこの作業には補助者があつたというが具体的に誰がどの程度の補助をしたのか明確でないし、同申請人の陳述書によれば、実際にはなかつたというので、補助者があつたものとして右の作業日数を計算することはできないところである。)。

しかし疎明によれば、申請人和田は仕事は遅いがきれいに仕上げることが認められ、また申請人和田の属していた製造部機器課第二組立係の坂本係長も3Cコンソレツト配線に一台二十二、三日を要していることが認められ、同人の作業状況は申請人和田のそれとは日時も異り、部品の供給などの条件も違つている上係長としての管理面における仕事も伴つているので、一概に遅速の判定の基準とするわけにはいかないけれども、同係長の経験年数等から見て申請人和田の作業の遅い点は全くレベル以下という程とも考えられない。

会社は申請人和田に単独作業を与えると作業速度が遅くなるといい、宮地製造部長がなるべくこの方針で同申請人の工程を指示しようとしていたことの疎明はあるが、同申請人の直接の上司である前記坂本係長にこの方針が伝えられたことがなく、また同係長自身はそのような方針をとらず、第二組立係の作業中相当経験の必要な作業は別として次々と来る仕事を手のすいている者が順次着手していく方針であつたことが認められるから、申請人和田の作業の遅いことが極めて顕著であつたとまでは認められない。

2  また申請人和田の属する第二組立係の職場が騒々しいということで安藤課長から二度程注意されたこと、申請人和田は職場における雑談の中心となる傾向があつたこと、更に同申請人は組合の闘争委員であつた関係上、労使間の紛争があつたときなど組合用務のため係長にことわらずに就業時間中職場を離れたこともあつたことが認められる。

3  申請人和田は昭和三二年二、三月頃に会社からいわれたバツヂの佩用や作業衣の着用を遅れて実行したことが認められる。しかし、疎明によれば、申請人和田一人が遅れて実行したものではなく他に遅れて実行したものもあつたと認められる。

4  申請人和田がくわえ煙草で腕を組みながら配線図を見ていたことがあることが認められる。会社は作業中喫煙する場合は手をやすめてするように指示していることが認められるが、申請人和田の右の行為の程度のことが禁止されているとは考えられず、同申請人の上司の坂本係長もその程度のことは行つていることが認められる。

しかし坂本の陳述によれば同申請人は他の者より右のような行為が多いのではないかと考えられる。

5  申請人和田が昭和三二年二月頃発熱してもいないのに発熱したと称し仕事をしなかつたこと(もし真に発熱していたとすれば、必しも同申請人を責めることはできないであろう。)、また同申請人が「こんな仕事は大学出のやる仕事でない」と称したことについては十分な疎明がない。

以上要するに申請人和田の作業振りはきれいには仕上げるが、その能率は悪く、勤務態度にもよいとはいえない点があつたと認められるが、同申請人の技能なり、勤務態度が極めて悪かつたものとは認められない。

この点について宮地製造部長が昭和三二年四月二七日に作成した申請人和田の勤務評定は極めて悪いがこの評定は、後記三の2認定の宮地製造部長の言と調和しないし、また後記三の1認定のとおり右勤務評定当時はほぼ申請人和田の解雇が確定している時期と認められるので、右勤務評定に全幅の信頼はおきがたいところである。

三、申請人和田の解雇決定と同申請人の技能、勤務態度との関連

1  疎明によれば、申請人和田の解雇は、会社において昭和三二年四月終り頃決定され、労務課長に解雇の発令をするようにとの命令があつたのは同年五月一日の夕刻と認められる。

従つて会社において申請人和田の解雇を決定した日時は前記一の8頃すなわち組合が会社提案のいわゆる「確認書」調印を拒否し、同申請人を書記長に選び、会社は前記認定の組合員の父兄を呼び出し組合活動について注意を与えた時期に合致する。

2  そこで会社が申請人和田の解雇を決定するについて、同申請人の技能なり勤務態度をどのように評価していたかを考える。

疎明によれば、(イ)申請人和田は昭和三二年三月一三日上司の宮地製造部長から「給料を一四三〇円昇給させるが、それだけ上げても他の大学出の者から見れば低いが現在配線係にいるからやむを得ない。今君に配線係を抜けられると配線の方の仕事に差支えるから、すぐとはいかないが機会を見て設計なり調整なりの仕事に変つてもらうから。」といわれたこと、(ロ)同年五月三日(解雇の翌日)申請人和田は宮地部長から「君がもし組合に関係していなかつたら解雇という問題はおきなかつたろう。」といわれたこと、(ハ)同年六月一五日鴨田、岩中の正副執行委員長が会社社長宅において申請人等の解雇撤回について交渉したところ、社長、副社長、平松部長は復職の条件として組合の全金脱退、申請人等の組合役員の辞任を提示したこと、(ニ)同月二四日前記正副執行委員長が副社長等と会見したところ、副社長から「申請人等の成績が悪かつたとかミスが多かつたとかいうことは今後気をつけることや努力することによつて、どうにでも挽回することができる。要は申請人等がどういう気持でいるかが問題であつて、その気持さえしつかりすればミスなどは末梢的なことだ。」といわれたことの諸事情が認められ、これらの事情から見れば、会社は、申請人和田の技術や勤務態度に重点をおいて解雇の措置を決定したものとは認められない。

四、申請人和田の解雇と不当労働行為

申請人和田には前記二認定のように欠点がないわけではないが、第三、第四の一、三の各事実を綜合して見れば、同申請人に対する解雇は二記載の同申請人の技能や勤務態度を理由とするものではなく、会社は申請人和田が会社側の希望した組合活動のあり方を確認することに反対するように組合員に働きかけ、同申請人が書記長として組合員を会社の好まぬ全金の組合活動の線に引つぱつて行くものと考え、これを嫌つて申請人和田を排除するためになされたものと認めるのが相当である。

そして同申請人の右組合活動が正当なものでないと認めるに足りる事情もないのであるから、かような解雇は申請人和田の正当な組合活動を理由とする解雇に該当し、不当労働行為を構成する。

従つて、同申請人に対する解雇の意思表示は団結権の侵害を目的とし、憲法第二八条の期待する労使関係の公序に反するものとして無効というべきである。

五、申請人和田の如き賃金労働者が解雇が無効なのにかかわらず従業員として取り扱われないことは重大な損害と認められるから、主文第一項の仮処分をする必要があるものと認められる。

第五申請人夏目の申請について

一、申請人夏目は会社に対し退職の意思表示をしたことがないと主張するが、これを認めるに足りる疎明はない。

同申請人は、退職願に署名したが押印するに当つて、しばらくの猶予を求め、同僚と相談の上署名の撤回を求めたから、退職の意思表示は完結していないと主張するが、疎明によれば、同申請人は昭和三二年五月二日金子労務課長より退職するようにすすめられ、学校時代の先輩である滝沢昭一や鴨田執行委員長に相談したところ、滝沢から「社長と会つて相談したが社長の意思はかたい。しかし社長はこの際君が退職すれば、君は長く会社にいたことでもあるので、半年くらいしたら今度できる会社川崎工場に入社させる。その時は勤続年数も現在までのものを加算するといつていた。」と告げられ、鴨田からも「今の状態ではどうにもならないから、事を荒だてないで滝沢のいうとおりにしてはどうか。」といわれたため、申請人夏目も退職の申出をする気になり、三人で金子労務課長のところへ行き、同申請人は退職する旨を告げたところ、副社長からも「半年程たつたら迎えてやる。その時は今までの勤続年数も加算してやる。」といわれ、退職願に署名して提出し、金子労務課長より退職金を受領したがその後退職願の撤回の申入をしたことが認められる。

してみれば、申請人夏目の退職の意思表示は完結していないとはいえず、むしろ退職願に押印があるかないかにかかわらず、同申請人の退職の意思表示はすでになされてしまい、これに対する会社側の承諾も即時になされてしまつたのであるから、これにより同申請人の雇用関係は終了してしまつたというべきである。

従つてその後に申請人夏目が退職の意思表示を撤回する余地はないものといわなければならない。

二、次に申請人夏目は、会社は申請人夏目の退職の意思表示を承諾するという合意の形式を利用して不当労働行為を実現しようとするものであつて、かかる合意は無効であると主張する。

しかし会社が同申請人の組合活動をきらつて退職を勧告したものと仮定してみても、同申請人がこれに応じたのは、前記認定の事情から見れば、組合の執行委員長や先輩からの勧告により、解雇になつて事を荒だてるよりは、半年程の辛抱で会社の川崎工場に採用され、勤続年数も継続される方が自己の将来のため利益と思つて退職の意思表示をしたと認めるのが相当であつて、右意思表示の効力に影響を及すべき瑕疵が存在したという主張立証のない本件においては、右意思表示が無効になる理由はないのである。

また申請人夏目が退職の意思表示をしたのは会社の不当な措置が動機となつたとしても、かかる動機に基く意思表示自体を労働法が禁止しているわけではないから結局その意思表示は、その効力に影響を及すべき瑕疵の主張、立証なくして無効となる理由もないといわなければならないし、またかかる動機に基くとはいえ労働者の自由意思によつてなされた退職の意思表示を承諾する会社側の措置が労働組合法の禁ずる不利益な差別待遇となるわけではない。

ただ会社側のかかる措置が全体としていわゆる組合に対する支配介入に該当する場合もあるかも知れないが、仮に申請人夏目と会社間の雇用契約の合意解除が組合に対する支配介入に該当するとしても、それはかかる行為が事実上持つている組合に対する影響力に着眼しての立論なのであるから、法律行為の効力の面から論ずるならば、労働者側の退職の自由の原則から見てかかる契約自体が契約当事者間においても公序に反し無効となるとはいえないものと考えられる。

三、以上のとおり申請人夏目と会社との雇用契約の合意解除が無効であるとの主張は理由がなく、従つて申請人夏目の本件仮処分申請についてはその本案の権利の疎明がないというほかはない。

第六結論

以上のとおり申請人和田の申請は認容すべきものであるが、申請人夏目の申請は理由がないからこれを却下すべきものである。

よつて、申請費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九二条を適用して主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 西川美数 裁判官 大塚正夫 花田政道)

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